被害者の方に朗報です!

法務省は交通事故で死亡した場合などの損害賠償額を決める際に,遺族らが受け取れる保険金が多くなるよう現行制度を見直しするようです。

これはどういうことかというと、交通死亡事故の場合、遺族には亡くなった方が生存していたならば得られたはずの給与や収入が逸失利益として補償されます。

この補償額は通常保険から一括して支払われるのですが、本来、これらの給与や収入は何年にもわたって亡くなった方が稼ぐものです。

これを一括してもらえるということは、その間の稼ぐ時間を短縮することになります。

時間を短縮するということは、その間の金利負担を控除する必要があります。

例えば、一年後にもらえるはずの100万円を今もらう場合には、一年間にかかる金利分を差し引いた金額しか受け取れないということです。

この金利はどれくらいかというと、民法では年利5%となっていることから、最高裁判例でも年利5%を控除するということになりました。

つまり、現実に受け取るお金を年利5%で運用すれば100万円になるという考え方です。

単純計算として、年利5%の計算で一年後に100万円を受け取る場合、現時点の元金はいくらかというと、100万円÷1.05=952,380円ということになります。

従って、現行では、952,380円しか受け取れません。

しかしながら、低金利のこの時代、952,380円を受け取り、銀行に預金したとしても、一年後に100万円にはなりません。せいぜい数千円の金利がつく程度です。

これでは被害者救済にはならず、年利5%という数字は現実と余りにもかけ離れているので、批判が多いところです。

今回の法務省の動きは、現実と余りにもかけ離れた実務の運用を現実に近づけるものであり、被害者救済により近づくものになると思います。

なお、逸失利益については死亡事故に限らず、後遺症が残った場合にも受け取ることができます。