9月14日の判決 未成年者の事故は親も責任

9月14日の判決 未成年者の事故は親の責任
 
 
東京地方裁判所平成22年9月14日判決
 
 
 
問題の所在
  
12歳の子供が引き起こした自転車事故につき,単身赴任中の父親や子供と生活している母親は責任を負うか。
 
 
 
裁判所の判断
 

子供の両親は,子供が塾への行き帰りに自転車を利用しており,帰宅時は夜間となること,その経路には本件交差点を含め住宅街の中の狭あいな道路からなる信号機による交通整理の行われていない交差点をいくつも通過し,見通しの悪いものも多く含まれていることは当然認識していた。
 
一般に,夜間における自転車の運転には昼間に比べてより一層の注意力と慎重さが必要となるが,特に,本件では,子供の帰宅経路に本件交差点を含め住宅街の中の狭あいな道路からなる信号機による交通整理の行われていない交差点をいくつも通過し,見通しの悪いものも多く含まれていていることに鑑みると,子供が夜間に塾から自転車を利用して帰宅することを認識していた両親としては,子供に対して自転車の運転について注意するよう口頭で指導をするに止まらず,子供が塾から帰宅するのにどのような走行経路をたどっているのか,その間にどのようにして自転車を運転しているのかといったことについて具体的に把握をした上,子供が危険な自転車の運転をしないよう,塾から自宅までの走行経路,その間における自転車の運転方法等を具体的に指導すべきであったというべきであるところ,子供は,当時,塾帰りに自転車で帰宅する友人らと「鬼ごっこ」をしながら帰宅することが多く,本件事故の際に「鬼ごっこ」中であったため,通常よりも速い速度で走行していたにもかかわらず,両親は,子供が塾帰りに「鬼ごっこ」をしていたことは把握していなかったというのであるし,ライトを点灯すること,なるべく明るい道を使用すること,交差点では一時停止することといった一般的な注意は与えていたようであるが,子供が夜間に塾から帰宅する際にどのように自転車を運転しているのかを具体的に把握しようとしていた形跡はないことからすると,両親には,子供が自転車の運転に際し交通法規を遵守するよう教育監督すべき義務に違反したと認められ,民法709条の責任を負う。
 
 
 
考察
 
子供が自転車に乗ってどのような経路を走るかなんて一々把握している親は少ないと思いますが,しつこいくらいに子供の行動形態を把握して指導していかないと,子供が引き起こした事故について,親は責任を負うことになります。