桐生貴央の法律解説ブログ - 広尾総合法律事務所

結婚契約書

 

弁護士家業を続けていると,離婚話に首をつっこまざるを得なくなるのですが,好きで一緒になったものどうし,別れるときもスッキリ別れればいいと思いますが,そうは問屋がおろしません。
 
離婚理由を聞いていくと,性格が合わない,異性関係,金銭関係等,結婚前から分かってた話じゃんということが次から次へと出てきて,それなら結婚前からよく話し合っておけば良かったのに思うのですが,そんなところ,先日FBで出会った士業の方と飲み会をしていたら,行政書士の先生が参加されていて,その先生が「結婚契約書」というものを広める活動をして本までだしていると聞いたので,早速,取り寄せて読んでみました。
 
本のタイトルはズバリ「結婚契約書」。



 

行政書士の安友千治先生が監修され,鈴木じゅんこさんが書かれています。

この本は,愛に包まれ夢みがちな淡い結婚観をいだいているカップルを現実世界に引き戻してくれる内容で,結婚を考えているおふたりに,口にしにくい,遠慮がちな,お金や親のことなどを話し合うきっかけ作りに役立ちます。

 
ビジネスの世界,例えばM&Aなどは企業間の結婚みたいなものですから,契約締結前に話し合いを通じて様々な条件を詰めていきます。
 
結婚も,これと同じです。

後から「聞いてないよ」といってみても後祭りなので,性格の不一致などで離婚とならないよう,事前に話し合う機会を作られたらいかがでしょうか?


広尾総合法律事務所 | 2011.06.10 | PermaLink

二重課税にNO!

平成22年7月6日、最高裁判所は遺族が分割で受け取る生命保険金に対し、相続税と所得税の両方を課したのは「違法な二重課税」との判決を下した。
 
この判決により払いすぎた税金を取り戻すことができますので、税務署の処分に従って税金を支払ってきた方にとっては朗報です。
 
【事案の内容】

① 上告人の夫は年金払特約付きの生命保険契約の被保険者であり,その保険料を負
 担していた。

② 夫が死亡したことにより,妻である上告人は同契約に基づく第1回目の年金として夫の
 死亡日を支給日とする年金の支払を受けた。

③ このとき上告人は,当該年金の額を収入金額に算入せずに所得税の申告をしたとこ
 ろ,長崎税務署長から雑所得として総所得金額に加算する内容の更正処分を下した。

④ そこで,上告人は,当該年金は,相続財産に当たり相続税の対象となるにもかかわら
 ず,これに更に所得税を課すことは二重課税に当たるので許されないとして更正処分の
 取消を求めた。

【判決】

1 ① 所得税法9条1項は,その柱書きにおいて「次に掲げる所得については,所得税を
   課さない。」と規定し,その15号において「相続により取得するもの(みなし相続財産
   も含む。)」を掲げている。

  ② そして,同項柱書きの規定によれば,同号にいう「相続により取得するもの」とは,
   相続により取得し又は取得したものとみなされる財産そのものを指すのではなく,
   当該財産の取得によりその者に帰属する所得を指すものと解される。

  ③ そして,当該財産の取得によりその者に帰属する所得とは,当該財産の取得の時
        における価額に相当する経済的価値にほかならず,これは相続税の課税対象とな
   るものであるから,同号の趣旨は,相続税の課税対象となる経済的価値に対しては
   所得税を課さないこととして,同一の経済的価値に対する相続税と所得税との二重
   課税を排除したものであると解される。
 
2 ① 相続税法3条1項1号は,被相続人の死亡により相続人が生命保険契約の保険金
   を取得した場合には,当該相続人が,当該保険金のうち被相続人が負担した保険料
   の金額の当該契約に係る保険料で被相続人の死亡の時までに払い込まれたものの
   全額に対する割合に相当する部分を,相続により取得したものとみなす旨を定めてい
   る。

  ② 上記保険金には,年金の方法により支払を受けるものも含まれると解されるところ,
   年金の方法により支払を受ける場合の上記保険金とは,基本債権としての年金受給
   権を指し,これは同法24条1項所定の定期金給付契約に関する権利に当たるものと
   解される。

  ③ そうすると,年金の方法により支払を受ける上記保険金(年金受給権)のうち有期定
   期金債権に当たるものについては,同項1号の規定により,その残存期間に応じ,そ
   の残存期間に受けるべき年金の総額に同号所定の割合を乗じて計算した金額が当
   該年金受給権の価額として相続税の課税対象となるが,この価額は,当該年金受給
   権の取得の時における時価(同法22条),すなわち,将来にわたって受け取るべき年
   金の金額を被相続人死亡時の現在価値に引き直した金額の合計額に相当し,その価
   額と上記残存期間に受けるべき年金の総額との差額は,当該各年金の上記現在価
   値をそれぞれ元本とした場合の運用益の合計額に相当するものとして規定されてい
   るものと解される。

  ④ したがって,これらの年金の各支給額のうち上記現在価値に相当する部分は,相
   続税の課税対象となる経済的価値と同一のものということができ,所得税法9条1項
   15号により所得税の課税対象とならないものというべきである。

3 ① 本件年金受給権は,年金の方法により支払を受ける上記保険金のうちの有期定期
   金債権に当たり,また,本件年金は,被相続人の死亡日を支給日とする第1回目の年
   金であるから,その支給額と被相続人死亡時の現在価値とが一致するものと解され
   る。

  ② そうすると,本件年金の額は,すべて所得税の課税対象とならないから,これに対
    して所得税を課することは許されないものというべきである。

平成22年07月06日 最高裁判所第三小法廷


広尾総合法律事務所 | 2010.07.06 | PermaLink

パチンコ攻略法の広告について損害賠償命令

パチンコ雑誌に掲載されたパチンコ攻略法により損害を受けたとして,雑誌発行会社と広告会社を相手とした損害賠償請求訴訟の判決が5月12日に大阪地裁で ありました。

争点は,雑誌発行会社と広告会社に広告内容の真実性を調べる義務があるかどうかということでしたが,裁判所は「内容に疑いを 持つべき事情があったのに調査を怠った」と指摘し,雑誌発行会社と広告会社に対して,計約76万円を支払うよう命じた,とのことです(朝日新聞)。

広告ついては,悪徳商法やヤミ金業者が利用している場合が多いので,安易な広告掲載に対する警鐘になると考えられます。


広尾総合法律事務所 | 2010.05.18 | PermaLink

攻略法の被害増加!

パチンコ,パチスロ攻略法の情報料名目などで現金を取られたとの被害相談が増えているそうです(2月27日 時事通信)。また,全国のパチンコ店などで組織する業界団体「全日本遊技事業協同組合連合会」の HP(http://www.zennichiyuren.or.jp/kouryaku/kouryaku.html)によれば,「必ず勝てる攻略法を 教えます。」などのおいしい言葉を並べて言葉を並べて,お金を騙し取る被害が多発しているとのことです。

以前にも書きましたが,攻略法に関して は,業者が,攻略情報に従えば確実に利益を上げることができるとの断定的判断を提供し,顧客はそれを真実と誤認した,と認定して消費者契約法に基づき契約 を取り消し,業者の不当利得返還義務を認めた上で,攻略情報が虚偽と知っていたと推認できる,組織的に欺瞞(ぎまん)的商法を行う場合の典型的手口と指摘 し,業者の不法行為も認定して業者に約540万円の支払いを命じた判決もあります(名古屋地判平成19年1月29日判決)。

しかしながら,業者の 多くは私設私書箱や電話代行会社などを利用しており,裁判をするにしても相手方を特定することが困難な場合もありますので,被害金額を必ずしも回収できる とは限りません。

世の中,上手い話はなかなかないでしょうから,おいしい話には気を付けたいものです。
 


広尾総合法律事務所 | 2010.02.27 | PermaLink

パチスロ必勝法は虚偽!情報会社に全額返還命令

パチンコ攻略法で成果が上がらなかったとして大阪府内の派遣社員男性(52)が,パチンコ情報を提供する「日本リサーチ攻略データバンク」(東京都)に支払った情報料計386万円の返還を求めた訴訟で,大阪地裁が「攻略法の効果はない」と認定し,同社に全額の返還を命じた( 読売新聞 2009年3月6日)。

パチンコ攻略法に関しては,名古屋地裁で,「攻略情報に従えば確実に利益を上げることができるとの断定的判断を提供し,男性はそれを真実と誤認した」と認定し,消費者契約法に基づき契約を取り消し,同社の不当利得返還義務を認めた上で,「攻略情報が虚偽と知っていたと推認できる」「組織的に欺瞞(ぎまん)的商法を行う場合の典型的手口」と指摘,同社の不法行為も認定して同社に約540万円の支払いを命じた判決があります(名古屋地判平成19年1月29日判決)。

その他,パチンコ攻略法に関しては,国民生活センターに記載されております。
 

 


広尾総合法律事務所 | 2009.03.06 | PermaLink

連帯保証契約が無効とされた事例

銀行融資を申し込む際,金融機関から連帯保証人をつけることを求められたりしますが,事業継続が困難な状態での融資申し込みで,事業の再建不能であることを知らずに締結した連帯保証契約の無効が認められた事例がありますので,ご紹介致します(東京高等裁判所平成17年(ネ)第144号 保証債務履行請求控訴事件(原審:静岡地方裁判所浜松支部平成12年(ワ)第454号)。

事案の概要


本件は,金融機関が,中小企業金融安定化特別保証制度(金融環境変化対応資金保証)に基づく県信用保証協会の保証付き融資に連帯保証をした保証人に対し,保証債務の履行を求めた事案です。

当事者

X:金融機関
Y:連帯保証人
A:会社(主債務者)
B:会社代表者
C:Bの妻,Aの会計・経理担当取締役

本件の特徴

■ A社は平成7年ころからノンバンクから資金を借りるようになり,平成9年9月ころからは,年利数百%から千数百%の高利でシステム金融からも借入れを繰り返すようになった。第27期(平成9年3月1日から平成10年2月28日まで)の決算では既に累積欠損が7766万円余り,経常損失が1620万円余りであった。同年9月ころから本件融資の実行日までの約3か月の間に,A社のシステム金融からの借入れは3千数百万円(ただし,業者の言いなりの元利金額であり,実額不明)に達し,A社はそのために振り出した小切手の決済に追われる毎日で,本件融資が実行されたころにはシステム金融に対し約1100万円余りの債務を負担していた。この他に,A社は消費者金融から約1800万円の借入金があった。

■ このような状況下で,A社は中小企業金融安定化特別保証制度(金融環境変化対応資金保証)を利用して,平成10年10月,Xに対して3000万円の融資を申し込んだ。

■ 融資案件は書面審査を主とする保証課において取り扱われるところ,本件については,実地に顧客を訪問し,ヒアリングや担保の調査を行う調査課の取扱いとなった。

■ 調査の結果,不動産担保付きでないとA社に対する金融安定化資金融資を行うことはできないことになり,また,B及びC所有の不動産では担保の余力が見込めないため,他の不動産の担保が必要となった。

■ これを受けて,B及びCは,Cの義兄であるYを訪れ,A社のXからの借入れについて担保を提供し連帯保証人になってくれるよう依頼した。これに対し,当初,Yは,Yの唯一の不動産を担保に提供することはできないとして断ったが,B及びCから,「ここで頑張ればうまくいくようになるから助けてほしい」と懇願され,ようやく,Xに出向き,話を聞くことには同意した。なお,この時,B及びCは,Yに対し,A社にシステム金融からの借入れがある等のことは全く説明していなかった。ところが,B及びCは, Xに対し,Yに担保提供を依頼したことと,担保提供の見込みがある話をした。

■ これに対して,Xは,Yについての保証人信用調とその所有不動産の謄本を保証協会に提出した。保証協会は,Yの所有不動産に1850万円以上の余力があれば担保を条件に融資すること,及びそのための担保調査をすることを決定し,保証金額は運転資金を含めて2500万円とする旨をXに伝えた。

■ 平成10年12月1日,Xは,B及びCに伴われて来店したYに対し,A社の経営は赤字となっていること,融資金額は2500万円,支払期間は5年間,返済方法は毎月30万円を支払い,5年後に残額につき期限を延長すること,Y所有の不動産に抵当権を設定することが融資の条件となることなどを説明したが,A社の赤字の具体的状況については説明しなかった。

■ Yは,かつて衣料品の行商を営んだことがあるにすぎず,会社の決算報告書なども見慣れていなかった上,当時71の高齢で,胃癌及び直腸癌を患っていた。そのため,Yは,Xの説明を十分に理解することはできなかったので,Xに対し,「この会社大丈夫ですか」と尋ねた。これに対し,Xは「大丈夫ですよ。新しい仕事も2つばかり立ち上がっているし,奥さんもお金の工面から注文取りからで,駆けずり回っているから大丈夫ですよ」と述べた。Yは,B及びCからA社に新規受注先があり,今回融資を受ければ何とかなると聞いていたので,X担当者の「大丈夫ですよ」というXの話を聞いて,A社が今回の融資により立ち直るものと信じ,ようやく担保として自宅を提供することを決意した。そこで,Yは,B及びCに対し「判子を押すからには,もしものことがあれば大変なことになるから,頑張ってくれよ」と述べた。

■ Xは,平成10年12月9日,Y宅を訪問し,Yの妻も同席している場で,Yに対し,本件保証契約の内容を説明し,保証の意思と,Y所有の不動産に抵当権を設定することについて承諾の意思を確認し,Yは,本件保証契約等の契約書類に署名押印した。11日,Xは,A社に対し,信用保証協会の保証付きで2500万円の融資を実行し,本件融資及び本件保証契約が成立した。

■ しかし,本件融資日時点でのA社のシステム金融からの借入れは約1100万円であり,そのため,本件融資が受けられてもシステム金融への返済もしなければならなくなっていた上,融資金額も当初見込みの3000万円から2500万円に減額されたため,運転資金だけでなく,返済資金としても不十分となり,ますます高利のシステム金融やノンバンク等からの借入れに頼るようになった。平成11年に入ると,A社は,システム金融やノンバンク等への返済に追われ,仕事にならなくなり,平成11年4月7日,A社は2回目の手形不渡りを出し,銀行取引停止処分を受け,上記の事実上の倒産から1年以上経過した後,負債総額約1億3240万3085円,資産なし(破産手続予納金のみ)の状態で,平成12年6月13日午前10時,破産宣告を受けた。

■ XはYに対し,保証債務の履行請求をし,これに対して,Yは錯誤無効等を主張してこれを争った。

結論


連帯保証契約は錯誤により無効である。

理由


■ A社は2500万円の本件融資を受けても,システム金融からの借入金を返済すると資金繰りができず,倒産必至の状態であって立ち直る見込みはなく,本件融資からわずか約4か月後に2回目の不渡りを出して事実上倒産したが,このようなA社の資金繰りの切迫した状態は,本件融資を求められた金融機関であるXにおいて,その調査により容易に見抜くことのできる状況にあったものといわなければならない。

■ 本件融資が検討されていた時点において,A社は事実上破綻状態にあり,必要な返済資金に満たない融資では早期の倒産が不可避で,XはA社からの本件融資の資金回収は不可能だったのであるから,本件保証契約締結の時点で,既にYが現実に保証債務の履行の責を負うことはほぼ確実な状況であった。そして融資の時点で当該融資を受けても短期間に倒産に至るような破綻状態にある債務者のために,担保を提供したり,連帯保証債務を負担しようとする者は存在しないと考えるのが経験則であるところ,Yは本件保証契約の締結の意思を確認された当時71歳の高齢で,子もなく,2500万円の支払能力はなかったのであるから,もしYがA社の経営状態について上記のような破綻状態にあり現実に保証債務の履行をしなければならない可能性が高いことを知っていたならば,唯-の土地建物を担保提供してまで保証する意思はなかったものと認めるのが相当である。したがって,Yは,A社の経営状態が上記のような破綻状態にあるものとは全く認識せずに本件保証契約の締結に応じたものというべきであり,本件保証契約にはその動機に錯誤があったことは明らかである。

■ 民法上動機の錯誤によって契約が無効となるためには,この動機が表示されていなければならないところ,およそ融資の時点で破綻状態にある債務者のために保証人になろうとする者は存在しないというべきであるから,保証契約の時点で主債務者がこのような意味での破綻状態にないことは,保証しようとする者の動機として,一般に,黙示的に表示されているものと解するのが相当である。

■ Yは,何らA社と取引関係のない情義的な保証人であり,高齢かつ病弱で,担保提供した自宅が唯一の財産であるというのであり,このことはXにおいてその調査により認識していたものである。さらに,YはB及びCから保証人となることを懇請されても容易に承諾せず,X担当者が保証意思の確認のためにY宅を訪問した際にも保証することに同意せず,最後にB及びCに伴われてXに行き,X担当者からA社の経営状態について説明されても十分に理解できなかったため,端的に,X担当者に対し「この会社大丈夫ですか」と確認したところ,X担当者から「大丈夫です」との返答があったので,これを信じて,本件融資について保証することを決断したのであるから,A社が破綻状態にはないことを信じて保証するのだという上記の動機が表示されていることは明らかというべきである。

■ そして,Xは,本件融資に至る過程において,A社に高利金融業者から多額の借入金があることを疑う機会が複数回あり,かつ,その調査も容易であって,A社が破綻状態にあることを知り得たのに,あえてその調査を行わないまま,信用保証協会から,2500万円に保証額が減額された上,B及びC以外の保証人の保証を付けることを求められて,Yに対し,上記のような説明をして本件保証証契約を締結したのであるから,本件保証契約が錯誤により無効とされてもやむを得ないものというべきである。


広尾総合法律事務所 | 2009.01.08 | PermaLink
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