桐生貴央の法律解説ブログ - 広尾総合法律事務所
Bird in a cage
資産家に嫁いだある女性タレントの離婚事件を扱ったときに彼女がつぶやいた
Bird in a cage。
資産家に嫁いだのだから、なに不自由なく暮らしていて、何が不満なのかと思うかもしれないが、どんなに資産があろうとも夫婦の間を埋めることはできず、そこにはやはり愛情が必要となるのだろう。
しかし、それが満たされないと、わびしいばかりで、自由が欲しくなる。
ということで、彼女は離婚を決意したのですが、一般人の場合、結婚も離婚も二人の合意に基づき、用紙に、二人がそれぞれ署名・捺印して、それを役所に提出すれば成立します。
しかし、我が国には二人の合意だけでは結婚が成立しない方たちがおられます。
すなわち、立后や皇族男子が結婚する場合、皇室会議での承認が必要となります(皇室典範第10条)。
他方、離婚をする場合には、皇室会議の承認は必要とされておりません。
そして、離婚が成立すると、民間から皇室に嫁いだ女性は皇籍を離脱することになります(皇室典範第14条第3項)。
離婚の場合、協議離婚と裁判上の離婚がありますが、一般の場合、協議離婚が整わなければ、調停や裁判といった裁判手続きを踏む必要があります。
この裁判手続きは民事裁判なので、民事裁判権が皇室に及ぶかという問題があります。
これに関しては、皇后陛下に対して民事訴訟を提起した事件があり、東京高等裁判所は皇后陛下に対する民事裁判権を否定する理由はないとして、皇后陛下に対する民事裁判権を認めております(東京高等裁判所昭和51年9月28日判決)。
このように、皇后陛下に対する民事裁判権が認められていることから、天皇陛下以外の他の皇族の方たちに対する民事裁判権も認められることになります。
とすると、協議離婚が成立しない場合、離婚の可否を裁判所で争うことになります。
この裁判は東京家庭裁判所で行うことになりますが、裁判所の職員らはえらく緊張するでしょうね。
また、お二人にお子さまがいる場合、お子さまの親権者をどちらにするかについても裁判所で決めることになります。
親権者が父親となれば、お子さまの皇籍離脱は問題となりませんが、親権者が母親となれば、お子さまの皇籍離脱についても問題となってきます。
お子さまの皇籍離脱について、皇室典範第11条第1項は、年齢15年以上の内親王、王及び女王については、その意思に基づき、皇室会議の承認があれば皇籍を離脱できると定めております。
さらに、皇室典範第11条第2項は、親王(皇太子及び皇太孫を除く。)、内親王、王及び女王は、やむを得ない特別の事由があるときは、皇室会議の承認があれば皇籍を離脱できると定めております。
従って、お子さまが皇太子か皇太孫でなければ、15歳未満であっても、やむを得ない特別の事情があれば、皇室会議の承認を経て皇籍を離脱することができます。
お子さまが女の子で15歳未満である場合、裁判所で親権者を母親と決めるとすれば、皇室会議もやむを得ない事情があるとして承認するのでしょうね。
次に、離婚が成立する場合、財産分与や慰謝料が問題となります。 皇室の経済状況については皇室経済法で定められており、第4条によれば、天皇並びに皇后、太皇太后、皇太后、皇太子、皇太子妃、皇太孫、皇太孫妃及び内廷にあるその他の皇族については内廷費が支出され、第6条によれば、その他の皇族には皇族費が支出されます。
これらは公金には属しない、いわゆるポケットマネーとなるので、この財産の中から財産分与や慰謝料が支払われることになります。
また、皇室経済法第6条1項は、皇族であつた者としての品位保持のために一時金額を支給するものと定めており、離婚や特別な事情で皇籍を離脱する場合には、独立の生計を営む皇族について算出する年額の10倍に相当する額を超えない範囲内において、皇室経済会議の審議を経て定める金額とされております。
この年額は、独立の生計を営む親王に対しては、定額相当額。独立の生計を営む内親王に対しては、定額の2分の1相当額となります。
ちなみに、ここにいう定額は皇室経済法施行令に定められており、年額3050万円とされております。
このように、皇室の方たちの婚姻については、一般人とは異なる仕組みとなっていますが、馴染みがないと思いますので、触れてみました。
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