桐生貴央の法律解説ブログ - 広尾総合法律事務所
滞納管理費支払者の元所有者(破産者)に対する求償権
建物の区分所有等に関する法律(マンション法)第8条では「前条第1項に規定する債権(管理費債権)は,債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。」と定め,管理費を滞納しているマンションを購入した人はその滞納管理費も支払わなければなりません。
従って,元所有者に代わって滞納管理費を支払った購入者は元所有者に対して,求償権を行使することができます(東京高裁平成17年3月30日判決)。
ところが,元所有者が破産して免責を受けていた場合,いったいどこまで求償することができるだろうか?
この点に関して,平成23年11月16日,東京高等裁判所で判決がでましたので紹介いたします。
本件では,元所有者が破産手続開始決定を受け,区分建物に抵当権が設定されていて余剰がないため破産管財人が破産手続き中に財団から放棄した区分建物を,競売により購入した者が支払った滞納管理費を元所有者に求償した事例です。
この事例で,元所有者は免責決定を受けているのですが,その場合,求償権はどこまで及ぶかということが問題となります。
ここで元所有者は免責決定を受けているので,破産手続開始前の滞納管理費については破産債権として免責の対象となります。
また,破産手続開始決定後の管理については財団債権となりますので,破産者は支払義務を負いません。
問題は,破産管財人が放棄した後の管理費についてですが,これについては破産者が義務を負わないとする法律上の根拠はありませんので,財団放棄後の管理費については破産者が支払わなければならず,従って,求償することができます。
張家口旧帝国陸軍病院
11月17日から20日まで中国に行って来た。
目的は張家口にあった旧陸軍病院を訪ねることにある。
この病院で父方の伯父が昭和17年,24歳で亡くなった。今から70年前のことである。
当時父は3歳,記憶の中に伯父の面影はないが,一人かの地で亡くなった伯父の御霊を慰めに行きたいとのことでだった。
今年74歳になる父の健康状態からすれば,これが最後のチャンスともいえるので,私は同行することにした。
といっても,当初,伯父がどこで亡くなったか,全く手がかりがなかった。
しかし,除籍謄本を調べたところ,張家口陸軍病院で死亡したとの記載があった。
そこで,張家口旧陸軍病院が張家口のどこにあるか調べることになったが,googleで検索しても,陸軍病院の地図らしいものはどこにも見つからなかった。
次に,防衛省に電話をかけたところ,防衛省は戦後にできた機関なので旧陸軍のことは分からないと言われてしまった。
しかし,防衛資料室に旧陸軍に関する資料があるかもしれないと教えてもらい,同資料室に架電し,前記の趣旨を話したところ,資料を調べてみるので時間を欲しいと言われた。
1時間ほどすると,資料室から電話があり,張家口陸軍病院がどこにあったかは分からないが張家口の市内を描いた地図があると教えてもらった。
早速,私は資料室を訪れ,地図を見せてもらうことにした。
その地図は「殿軍 響兵団の対ソ戦記」という本に添付されている地図だった。作者はそのとき確認しなかったが,後日ネットで確認すると「高木俊朗」氏だった。 
この地図を手がかりに,中国に飛んだのであるが,道中では驚くほど,スムーズに事が運んだ。
私たちは北京から高速で張家口に入った。ご多分に漏れず,張家口も開発ラッシュで,高層ビル群が多数乱立しており,旧市街の様子は全くなかった。
しかし,地図に記載のある河(清水河)の流れは変わらず,また,河に架かる橋の位置を手がかりに車を走らせると,地図にある陸軍病院の位置近くに病院があった。
そこにいる人に,昔このあたりに日本軍の病院があったらしいが知らないかと尋ねると,彼は以前この場所に日本軍の病院があったと言った。
現在,昔の面影はなく,また,地図の道路位置と現在の道路位置はずれていたのであるが,話によると,道幅が広くなったので,かつての位置と違っているとのことだった。
事の真偽は明らかではないが,少なくとも,伯父が吸っていた空気と同じ張家口の空気を吸っていることに違いはないし,かの地の人がこの場所に旧日本軍の病院があったと言っている以上,否定する根拠もないので,彼の言うことを信じることにした。
このようにして,我々は70年前に亡くなった伯父の跡を訪ねることができたのであるが, 旧陸軍病院の地図の入手,現場での病院の位置探索,どれもこれも実にスムーズに事が運んだ。
それはまるで伯父が道案内をしてくれているようだった。
天候も前日の雨が晴れ上がり,空は真っ青に澄み渡り,肌に突き刺す大陸の乾いた空気の中で,伯父が生活していたこと,父親に残された時間に思いをはせると,まさに感涙にむせぶ旅だった。
追伸,資料調査にご協力いただいた防衛省資料室の方,その他旅行会社を初めとする関係各位には心より感謝申し上げます。
なお,「殿軍 響兵団の対ソ戦記」については読んでおりませんが,響兵団については,下記のブログに記載がありましたので,ご紹介させていただきます。
blog.goo.ne.jp/misky730/e/813ef9fa8717358b3e2791b158a55a16
気付きの大切さ
私は坐禅をするのですが,坐禅をするとき,まずは息を吐きだします。
ラジオ体操でも,レントゲン撮影でも,「息を吸ってー,吐いてー。」とまずは息を吸うところから始めますが,坐禅をするときはゆっくりと息を吐くことから始めるのです。
それはなぜか?
息が肺の中に溜まったまま息を吸ったとしても,すぐに胸一杯になってしまって,たくさんの空気を吸い込むことができません。
しかし,息を吐き出してから吸うようにすると,息を吐き出すことで肺の中は空になっているので,たくさんの空気を吸い込むことができるのです。
このように息を吐くことで新鮮な空気をたくさん体内に取り込むことができ,それにより体じゅうに酸素が行き渡り,気持ちが落ち着いてくるわけです。
これと同じで,胸一杯に悩みを抱えた方はアドバイスを聞いたとしても,そのアドバイスは聞き入れられず,右から左に抜けてしまいます。
また,悩みを抱えた方は,その悩みを小出しにされるので,全体像がつかめず,抜本的な解決に至らないケースが多々あります。
ここで大切なことは視点を変えることです。
息を吸うのも吐くのも同じ動作ですが,息を吸うことに視点を置くか,吐くことに視点を置くかによって,その後の効果はかなりかわってきます。坐禅の話にあるように,息を吐くことでたくさんの酸素を取り込めるわけですから,これと同じように,悩みを吐きだすことで,その解決に向けたアドバイスを聞き入れることができるのです。
このように,ちょっと視点を変えることで結果が代わってくるわけですから,これに気付くことが大切ですし,気付いていただくようにすることが私の使命であると考えております。
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