桐生貴央の法律解説ブログ - 広尾総合法律事務所

事実婚と非嫡出子

著名な女優さんの内縁の夫が死亡したことがワイドショーの話題となっております。

報道によると,内縁の夫には先妻との間の3人の子供,女優さんとの間の子供の他にも,認知した子供がいるとのことですが,この場合の相続について,遺言書がなかったら,各子供の相続分は異なってきます。

先妻との間の子供は,法律上婚姻関係にある夫婦から生まれた子供なので,嫡出子として当然に相続権があります。

これに対し,法律上婚姻関係にない夫婦から生まれた子供の場合,たとえ父親との間に血縁関係があったとしても法律的な意味での親子関係はありません。
この場合,父親が認知することによって初めて法律的な親子関係となり,相続権も発生することになります。
したがって,女優さんのお子さんも内縁の夫が認知しない限り,法律上の親子関係がないということになり,相続権も発生しないことになります。

では,内縁の夫が認知した場合,各子供の間の相続分はどうなるでしょうか?
この点で,嫡出子か非嫡出子かが問題となります。

前述したように,嫡出子とは法律上婚姻関係にある夫婦から生まれた子供のことをいい,これに対し,非嫡出子とは法律上婚姻関係にない夫婦から生まれた子供で,父親から認知された子供のことをいいます。

そして,嫡出子と非嫡出子の相続分については,非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分の1/2と規定されております(民法900条4号ただし書)。

この規定については,これまでも憲法14条1項(法の下の平等)等に違反するとして裁判で争われてきましたが,合理的理由のない差別とはいえないとして合憲の判断が出されています(平成7年7月5日最高裁大法廷決定)。

また,最近でも,この問題は,最高裁大法廷に回付され,判例変更になるかどうか裁判所の判断に注目が集まっていたのですが,平成23年3月9日,当事者間で和解がまとまったとして,訴えが却下されております。

いずれにしろ,この問題は,家族制度の問題やら,法の下の平等やら,様々問題が絡み合っていて一概にどうとは言えませんので,裁判で問題となっていた事例を提示しますから,皆様それぞれ考えてみてはいかがでしょうか?www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110314134519.pdf


【事案の概要】

1 B:昭和の時代に死亡
    A:平成14年に死亡
    C:平成19年に死亡
   遺産分割の対象は,AとCの財産

2 XからYに対して,遺産分割の審判申立

3 Yの主張
  民法900条4号ただし書の規定は憲法14条1項等に違反する。

【考察】

よくある話は,同じ親から生まれた子供同士なのに,なぜ相続分で差が出るのか,差が出るのは不公平だという話です。

しかし,民法900条4号ただし書は,兄弟姉妹についての相続分についても規定しております。

C・X・Yが一緒に暮らしていたならば,XとYの相続分が異なるのは不公平という主張は分かりますが,C・XとYが全く別々の生活をしており,お互い顔も知らない状態の中で,Cの財産がYに行くということは,Cからすれば合点がいかないので相続分に差異を設けることもあながち不合理とは言えないとも思えますし,あなたならどちらにしますか?


【参照条文】

第900条  同順位の相続人が数人あるときは,その相続分は,次の各号の定めるところによる。
一  子及び配偶者が相続人であるときは,子の相続分及び配偶者の相続分は,各二分の
  一とする。
二  配偶者及び直系尊属が相続人であるときは,配偶者の相続分は,三分の二とし,
  直系尊属の相続分は,三分の一とする。
三  配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは,配偶者の相続分は,四分の三とし,
  兄弟姉妹の相続分は,四分の一とする。
四  子,直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは,各自の相続分は,相等しいものとす
  る。
      ただし,嫡出でない子の相続分は,嫡出である子の相続分の二分の一とし,父母の
  一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は,父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続
  分の二分の一とする。
 


広尾総合法律事務所 | 2011.08.16 | PermaLink

デジタルデータは消えない。

パソコンでも,携帯でも,データを削除することがあると思いますが,その削除データはすべて復元できるとしたら,どうでしょう?

 

マスコミをにぎわせた事件(前田検事,大相撲,教職員採用試験の改ざん問題等)では,デジタルデータの改ざんがクローズアップされましたが,この改ざんの事実を暴くのに役立つ技術がコンピュータフォレンジックの技術です。

 

今日,所要があって,このコンピュータフォレンジックの会社に行ったところ,社長の佐々木さんが幻冬舎から冒頭のタイトルの書籍を出されたとのことで,その書籍を頂いて参りました。



www.amazon.co.jp/デジタルデータは消えない-幻冬舎ルネッサンス新書-2-1-佐々木-隆仁

 

デジタルデータは消えないと言うタイトルにあるように,デジタルデータは削除しても,上書きをしても,すべて復元されてしまいます。

 

勤務時間中に仕事とは関係のないサイト(例えばアダルトサイト)を覗いていたとすれば,この事実も解析されてしまうし,勤務時間の計算をするに際しても,PCの電源を入れた時間,作業時間,電源を落とした時間等のすべての時間もすべて解析することができます。

 

また,携帯電話を使って,勤務時間中に株取引をしていたとしても,解析すれば一発で分かってしまうのです。

 

他人には分かるはずがないと思っていたとしても,デジタルデータとは切っても切り離せない世の中となっておりますので,あなたの行動は常に監視対象となっていることを忘れずに行動してください!


広尾総合法律事務所 | 2011.08.12 | PermaLink
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