桐生貴央の法律解説ブログ - 広尾総合法律事務所
後見人座談会
昨日,港区社会福祉協議会の成年後見人の会合に参加しました。
この会合は座談会形式で,後見人に就任されている方が日頃疑問に思っていることをそれぞれ持ち寄って,議論する場なのですが,昨日は医療同意について議論となりました。
身よりのない方の場合,緊急手術等で医師から同意を求められることがあるのですが,そもそも後見人には同意権がないということを医師に理解して貰えない,ということを訴えておりました。
医師の方も訴訟リスクを抱えながら,医療行為をされているので,同意を求めてくるのは分かるのですが,経験者のお話では,後見人が同意をすることによって医師がホッとした顔をするそうです。
その経験者は覚悟を決めて同意書にサインをしたとのことですが,こういう実体験を通じた意見交換ができるということは未知の問題に遭遇したときにも非常に役立つので,とてもありがたいお話でした。
天網恢々疎にして漏らさず
昨日はウィルスを作成してハードディスクを破壊した人が器物損壊罪で実刑判決を受けましたが,今日は,感染目的でウイルスをパソコンに保管していたとしてウィルス保管罪で逮捕された人がいます。
昨日の器物損壊罪の人も,今回の人も刑法改正前にウィルスを作成していたので,ウィルス作成罪での摘発は免れたようですが,今回の人は保管罪で摘発されてます。
法律も,時代に流れ似合わせて改正されてますが,それでも間に合わない場合には,既存の法律を適用して何とか処罰しようとしております。
器物損壊というと窓ガラスを割ったとか,車に10円パンチをしたとかのイメージがありますが,ウィルス作成者もまさか器物損壊罪で処罰されるとは思っても見なかったんでしょうね。
案の定,弁護側は無罪を主張していたようですが,物の本質的効用を既存するのが器物損壊罪の趣旨であることからすると,ウィルスによって,ハードディスク内のデータが読み出せないとすることはハードディスクの効用を害しているので,器物損壊罪にあたると言うんでしょうね。
まさに,天網恢々疎にして漏らさず,といえます。
mainichi.jp/select/biz/news/20110721dde041040075000c.html
相続で揉めないために!
平成21年度に家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割調停事件のうち,遺産の価額が相続税の基礎控除額である5,000万円以下のケースが全体の約73% 。
平成21年度の70歳以上世帯の家計資産のうち,不動産の占める割合が約60% 。
72歳の御主人に,66歳の奥様,43歳の息子に,40歳の娘さんがいるご家族で,御主人に万一のことがあった場合,遺言書がないと法定相続分(奥様1/2,息子1/4,娘1/4)に従って遺産を分けることになります。
しかし,相続財産の60%を占める不動産には奥様が住んでいるので処分しずらいし,奥様が不動産を取得するとなると,法定相続分以上の財産を取得することになるので揉めるタネになる。
これに,寄与分やら特別受益が絡んでくると,相続人それぞれの思惑があるのでスムーズに財産分けをすることができなくなります。
そのための解決方法として,御主人が生前に遺言書を作成しておけば,相続分にとらわれずに財産分けをすることができます。
また,どの財産を誰に分けるか決めていないので,今のところ遺言を書くつもりはないとお考えであるのであれば,御自身を被保険者として受取人を相続人の誰かにした生命保険に加入しておくことには抵抗がないでしょうから,保険を使った財産分けをする方法も考えられます。
何れにしろ、人それぞれなので,個別事情によるところが大なので,相続が争族とならないように,お近くの専門家にご相談された方がよいでしょう。
建物賃貸借契約,更新料は「有効」
居住用建物を賃借した借家人が,更新料条項は消費者契約法10条または借地借家法30条により無効であると主張して,家主に対し,不当利得返還請求権に基づき支払済みの更新料22万8000円の返還を求め,反対に家主側が借家人に対し,未払更新料7万6000円の支払を求める反訴を提起した事案について,平成23年7月15日,最高裁判所は更新料条項を有効と認め,借家人に対し,未払更新料の支払いを命じた。
本年3月においても,最高裁は敷引特約を有効としており,慣習通りの判決をしたのであるが,本件においては,更新料の法的性質について言及した。
すなわち,更新料は,期間が満了し,賃貸借契約を更新する際に,賃借人と賃貸人との間で授受される金員であるが,この性質について判決は,更新料は,一般に,賃料の補充ないし前払,賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有するものと判示した。
そして,更新料条項は,一般的には貸借契約の要素を構成しない債務を特約により賃借人に負わせるという意味において,消費者である賃借人の義務を加重するものに当たるとしつつも,更新料の性質から,更新料の支払にはおよそ経済的合理性がないなどということはできないし,また,一定の地域においては更新料の支払をする例が少なからず存することは公知の事実であること,従前,裁判上の和解手続等においても,更新料条項を当然に無効とする取扱いがされてこなかったことから,賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は,更新料の額が賃料の額,賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り,消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらないので,有効であるとした。
www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110715143324.pdf
最高裁判決で,敷引特約,更新料条項の各条項の有効性が認められましたが,更新料については,一体いくらまでなら「高額に過ぎる」とは言えないのか,具体的な金額が明らかとなっているわけではないので,この先も更新料条項の有効性が問題となる可能性はあります。
ちなみに,本件では1年更新で家賃2カ月分の更新料条項が有効とされたが,2年契約更新料1カ月分に慣れている当職としては,1年契約更新料2カ月というのは高額ではないかと思われるので,判決には多少違和感が残る。
しかし,更新料条項を無効とした時のインパクトを考えると,判決の方向性はやむを得ないのではなかろうか。
ただし,家主が,この判決に胡坐をかくと手痛いしっぺ返しを食らうんだろうな。。。
習ひつつ 見てこそ習へ
習ひつつ 見てこそ習へ 習わずに 善し悪しいうは 愚かなりけれ 千利休
今日から後半戦がスタートしますが,今日も恒例の朔日参りに広尾神社に来ました。
今月の生命の言葉は利休の句です。
すべての習い事は人から教えられたことをまず習い,人の振りを見て確かめ,さらに自分でやってみて身につけていく。
それを人から教えられることなく,善し悪しをいうのは馬鹿なことだ。
という意味ですが,どんな仕事であれ,勉強であれ,まずは人から教えられたことを真似してみることから始まります。
初めはぎこちないかも知れませんが,人の振りを見ながら練習を繰り返すうちに,自ずと自分のものになる。
法律においても,ある論点に関して,A説,B説ありますが,はじめは,所詮,他人の考え方と思っていたとしても,その考え方を理解・納得するうちに,自分オリジナルの考え方になっていく。
どんな世界でもまずは真似てみることが大切です。
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