桐生貴央の法律解説ブログ - 広尾総合法律事務所
平成23年度の税制改正
平成23年度の税制改正により,相続税の大幅な増税が見込まれております。
これまで,親から遺産を相続した人の中で相続税を支払う人の割合は約4%といわれておりましたが,今度の税制改正によりその倍の約8%の方が相続税を負担するといわれております。
とりわけ,都心に住宅を持つ家族4人の平均的なサラリーマンのご家庭では,これまで相続税の基礎控除額が8000万円となっており,住宅以外に取り立ててめぼしい財産がないご家庭では相続税など問題とはなっておりませんでしたが,今度の税制改正により基礎控除額が4800万円に下がることから,相続税を支払わなければならなくケースが多く見られるようになります。
このように平成23年度の税制改正では,これまで相続税とは無縁であった方達をも巻き込む事となりますので,ご自分の相続はどうなるのか,一度,ご確認された方がよろしいかと思いまとめてみました。
今度の税制改正の主なポイントは3つ
① 基礎控除額の引き下げ
② 生命保険等の非課税枠の縮小
③ 税率の変更
① 基礎控除額の引き下げ
従来の基礎控除額
定額控除:5000万円
法定相続人比例控除:1000万円×法定相続人数
これにより,4人家族の場合,ご主人が亡くなるとすると,定額控除:5000万円,法定相続人比例控除:3000万円(1000万円×3人)の合計8000万円が控除されることとなるので,例えば,相続財産が6000万円である場合,相続税は発生しないこととなる。
税制改正後
定額控除:3000万円
法定相続人比例控除:600万円×法定相続人数
これにより,上記の例では,定額控除3000万円,法定相続人比例控除:1800万円(600万円×3人)の合計4800万円しか控除されないので,6000万円から4800万円を控除した1200万円に税金がかかることになります。
② 生命保険等の非課税枠の縮小
従来の生命保険の非課税枠
500万円×法定相続人数
これにより,上記の例では,保険金を受け取る際には,1500万円(500万円×3人)が控除されることになります。
税制改正後
法定相続人のうちでも「生計を一にする者と未成年者,障害者」に限られることになった。
上記の例では,子供1人が成人に達して独立していた場合,控除額は1000万円(500万円×2人)にしかならないということになります。
③ 税率の変更
従前の税率
| 各人の法定取得財産1000万円以下 | 税率10% | 控除額 0円 |
| 各人の法定取得財産1000万円超~3000万円 | 税率15% | 控除額 50万円 |
| 各人の法定取得財産3000万円超~5000万円 | 税率20% | 控除額 200万円 |
| 各人の法定取得財産5000万円超~1億円 | 税率30% | 控除額 700万円 |
| 各人の法定取得財産1億円超~3億円 | 税率40% | 控除額 1700万円 |
| 各人の法定取得財産3億円超 | 税率50% | 控除額 4700万円 |
税制改正後
| 各人の法定取得財産1000万円以下 | 税率10% | 控除額 0円 |
| 各人の法定取得財産1000万円超~3000万円 | 税率15% | 控除額 50万円 |
| 各人の法定取得財産3000万円超~5000万円 | 税率20% | 控除額 200万円 |
| 各人の法定取得財産5000万円超~1億円 | 税率30% | 控除額 700万円 |
| 各人の法定取得財産1億円超~2億円 | 税率40% | 控除額 1700万円 |
| 各人の法定取得財産2億円超~3億円 | 税率45% | 控除額 2700万円 |
| 各人の法定取得財産3億円超~6億円 | 税率50% | 控除額 4200万円 |
| 各人の法定取得財産6億円超 | 税率55% | 控除額 7200万円 |
その他,税制とは関係ありませんが,小規模宅地等の特例が改正されましたので,2次相続の場合思わぬ税金がかかってくる可能性がありますので,ご注意してください。
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