桐生貴央の法律解説ブログ - 広尾総合法律事務所
会津
今週の生け花
蓮華
蓮の花の特徴
華果同時
花と実が同時に開く。
蓮の花は花が開いたときに中に既に果実が存在しています。
汚泥不染
泥水に染まらないということ。
立ち上がった蓮の花は、泥に染まらず、泥の影響を受けず、ただひたすらに気高く咲くそうです。
蓮に徒花なし
徒花とは咲き損なった花のことですが、泥水から立ち上がってきた蓮の花は必ずきれいに咲くそうです。
どんな悩み・苦しみがあっても、そこから立ち上がり、泥沼から抜け出た人は、必ず美しい花を咲かせられるそうです。
しかし、そのためには泥が必要であるそうですが、苦しいこと、悲しいこと人生いろいろな試練が待ちかまえているとは思いますが、それらは決して無駄なことではなく、将来必ず美しい花を咲かせるための糧だと思って、日々心の鍛練を積んでいきたいものです。
過払金返還請求権の消滅時効の起算点
事案の概要
貸金業者に対し,基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引に係る弁済金のうち利息制限法所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当すると,過払金が発生していると主張して,過払金の返還を求めたところ、貸金業者が,過払金返還請求権の一部は,過払金の発生時から10年が経過し,消滅時効が完成していると主張して,これを援用した事案。
結論
継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約が,利息制限法所定の制限を超える利息の弁済により発生した過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含む場合には,上記取引により生じた過払金返還請求権の消滅時効は,特段の事情がない限り,上記取引が終了した時から進行する。
理由
借入金の残元金が一定限度で繰り返し行われ,借入金債務の残額の合計を基準として各回の最低返済額を設定して毎月返済が行われる継続的金銭消費貸借取引契約は,基本契約に基づく借入金債務につき利息制限法所定の利息の制限額を超える利息の弁済により過払金が発生した場合には,弁済当時他の借入金債務が存在しなければ上記過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意(以下「過払金充当合意」という。)を含む場合,新たな借入金債務の発生が見込まれる限り,過払金を同債務に充当することとし,借主が過払金に係る過払金返還請求権を行使することは通常想定されていないものというべきであるから,一般に,過払金充当合意には,借主は基本契約に基づく新たな借入金債務の発生が見込まれなくなった時点,すなわち,基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引が終了した時点で過払金が存在していればその返還請求権を行使することとし,それまでは過払金が発生してもその都度その返還を請求することはせず,これをそのままその後に発生する新たな借入金債務への充当の用に供するという趣旨が含まれているものと解するのが相当である。
そうすると,過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては,同取引継続中は過払金充当合意が法律上の障害となるというべきであり,過払金返還請求権の行使を妨げるものと解するのが相当である。
借主は,基本契約に基づく借入れを継続する義務を負うものではないので,一方的に基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引を終了させ,その時点において存在する過払金の返還を請求することができるが,それをもって過払金発生時からその返還請求権の消滅時効が進行すると解することは,借主に対し,過払金が発生すればその返還請求権の消滅時効期間経過前に貸主との間の継続的な金銭消費貸借取引を終了させることを求めるに等しく,過払金充当合意を含む基本契約の趣旨に反することとなるから,そのように解することはできない(最高裁平成17年(受)第844号同19年4月24日第三小法廷判決・民集61巻3号1073頁,最高裁平成17年(受)第1519号同19年6月7日第一小法廷判決・裁判集民事224号479頁参照)。
平成21年1月22日最高裁判所第一小法廷判決
今週の生け花
荒川にシャカリキ
いつものメンバーで荒川沿いを走りました。 走行距離 67.01キロメートル走行時間 4時間23分平均時速 15.3キロメートルケイデンス 64
途中、市民マラソン大会に遭遇しましたが、参加人数は約5,000人とのことでした。 澄み切った青い空を背景にしたランナーたちの姿は壮観です。
連帯保証契約が無効とされた事例
銀行融資を申し込む際,金融機関から連帯保証人をつけることを求められたりしますが,事業継続が困難な状態での融資申し込みで,事業の再建不能であることを知らずに締結した連帯保証契約の無効が認められた事例がありますので,ご紹介致します(東京高等裁判所平成17年(ネ)第144号 保証債務履行請求控訴事件(原審:静岡地方裁判所浜松支部平成12年(ワ)第454号)。
事案の概要
本件は,金融機関が,中小企業金融安定化特別保証制度(金融環境変化対応資金保証)に基づく県信用保証協会の保証付き融資に連帯保証をした保証人に対し,保証債務の履行を求めた事案です。
当事者
X:金融機関
Y:連帯保証人
A:会社(主債務者)
B:会社代表者
C:Bの妻,Aの会計・経理担当取締役
本件の特徴
■ A社は平成7年ころからノンバンクから資金を借りるようになり,平成9年9月ころからは,年利数百%から千数百%の高利でシステム金融からも借入れを繰り返すようになった。第27期(平成9年3月1日から平成10年2月28日まで)の決算では既に累積欠損が7766万円余り,経常損失が1620万円余りであった。同年9月ころから本件融資の実行日までの約3か月の間に,A社のシステム金融からの借入れは3千数百万円(ただし,業者の言いなりの元利金額であり,実額不明)に達し,A社はそのために振り出した小切手の決済に追われる毎日で,本件融資が実行されたころにはシステム金融に対し約1100万円余りの債務を負担していた。この他に,A社は消費者金融から約1800万円の借入金があった。
■ このような状況下で,A社は中小企業金融安定化特別保証制度(金融環境変化対応資金保証)を利用して,平成10年10月,Xに対して3000万円の融資を申し込んだ。
■ 融資案件は書面審査を主とする保証課において取り扱われるところ,本件については,実地に顧客を訪問し,ヒアリングや担保の調査を行う調査課の取扱いとなった。
■ 調査の結果,不動産担保付きでないとA社に対する金融安定化資金融資を行うことはできないことになり,また,B及びC所有の不動産では担保の余力が見込めないため,他の不動産の担保が必要となった。
■ これを受けて,B及びCは,Cの義兄であるYを訪れ,A社のXからの借入れについて担保を提供し連帯保証人になってくれるよう依頼した。これに対し,当初,Yは,Yの唯一の不動産を担保に提供することはできないとして断ったが,B及びCから,「ここで頑張ればうまくいくようになるから助けてほしい」と懇願され,ようやく,Xに出向き,話を聞くことには同意した。なお,この時,B及びCは,Yに対し,A社にシステム金融からの借入れがある等のことは全く説明していなかった。ところが,B及びCは, Xに対し,Yに担保提供を依頼したことと,担保提供の見込みがある話をした。
■ これに対して,Xは,Yについての保証人信用調とその所有不動産の謄本を保証協会に提出した。保証協会は,Yの所有不動産に1850万円以上の余力があれば担保を条件に融資すること,及びそのための担保調査をすることを決定し,保証金額は運転資金を含めて2500万円とする旨をXに伝えた。
■ 平成10年12月1日,Xは,B及びCに伴われて来店したYに対し,A社の経営は赤字となっていること,融資金額は2500万円,支払期間は5年間,返済方法は毎月30万円を支払い,5年後に残額につき期限を延長すること,Y所有の不動産に抵当権を設定することが融資の条件となることなどを説明したが,A社の赤字の具体的状況については説明しなかった。
■ Yは,かつて衣料品の行商を営んだことがあるにすぎず,会社の決算報告書なども見慣れていなかった上,当時71の高齢で,胃癌及び直腸癌を患っていた。そのため,Yは,Xの説明を十分に理解することはできなかったので,Xに対し,「この会社大丈夫ですか」と尋ねた。これに対し,Xは「大丈夫ですよ。新しい仕事も2つばかり立ち上がっているし,奥さんもお金の工面から注文取りからで,駆けずり回っているから大丈夫ですよ」と述べた。Yは,B及びCからA社に新規受注先があり,今回融資を受ければ何とかなると聞いていたので,X担当者の「大丈夫ですよ」というXの話を聞いて,A社が今回の融資により立ち直るものと信じ,ようやく担保として自宅を提供することを決意した。そこで,Yは,B及びCに対し「判子を押すからには,もしものことがあれば大変なことになるから,頑張ってくれよ」と述べた。
■ Xは,平成10年12月9日,Y宅を訪問し,Yの妻も同席している場で,Yに対し,本件保証契約の内容を説明し,保証の意思と,Y所有の不動産に抵当権を設定することについて承諾の意思を確認し,Yは,本件保証契約等の契約書類に署名押印した。11日,Xは,A社に対し,信用保証協会の保証付きで2500万円の融資を実行し,本件融資及び本件保証契約が成立した。
■ しかし,本件融資日時点でのA社のシステム金融からの借入れは約1100万円であり,そのため,本件融資が受けられてもシステム金融への返済もしなければならなくなっていた上,融資金額も当初見込みの3000万円から2500万円に減額されたため,運転資金だけでなく,返済資金としても不十分となり,ますます高利のシステム金融やノンバンク等からの借入れに頼るようになった。平成11年に入ると,A社は,システム金融やノンバンク等への返済に追われ,仕事にならなくなり,平成11年4月7日,A社は2回目の手形不渡りを出し,銀行取引停止処分を受け,上記の事実上の倒産から1年以上経過した後,負債総額約1億3240万3085円,資産なし(破産手続予納金のみ)の状態で,平成12年6月13日午前10時,破産宣告を受けた。
■ XはYに対し,保証債務の履行請求をし,これに対して,Yは錯誤無効等を主張してこれを争った。
結論
連帯保証契約は錯誤により無効である。
理由
■ A社は2500万円の本件融資を受けても,システム金融からの借入金を返済すると資金繰りができず,倒産必至の状態であって立ち直る見込みはなく,本件融資からわずか約4か月後に2回目の不渡りを出して事実上倒産したが,このようなA社の資金繰りの切迫した状態は,本件融資を求められた金融機関であるXにおいて,その調査により容易に見抜くことのできる状況にあったものといわなければならない。
■ 本件融資が検討されていた時点において,A社は事実上破綻状態にあり,必要な返済資金に満たない融資では早期の倒産が不可避で,XはA社からの本件融資の資金回収は不可能だったのであるから,本件保証契約締結の時点で,既にYが現実に保証債務の履行の責を負うことはほぼ確実な状況であった。そして融資の時点で当該融資を受けても短期間に倒産に至るような破綻状態にある債務者のために,担保を提供したり,連帯保証債務を負担しようとする者は存在しないと考えるのが経験則であるところ,Yは本件保証契約の締結の意思を確認された当時71歳の高齢で,子もなく,2500万円の支払能力はなかったのであるから,もしYがA社の経営状態について上記のような破綻状態にあり現実に保証債務の履行をしなければならない可能性が高いことを知っていたならば,唯-の土地建物を担保提供してまで保証する意思はなかったものと認めるのが相当である。したがって,Yは,A社の経営状態が上記のような破綻状態にあるものとは全く認識せずに本件保証契約の締結に応じたものというべきであり,本件保証契約にはその動機に錯誤があったことは明らかである。
■ 民法上動機の錯誤によって契約が無効となるためには,この動機が表示されていなければならないところ,およそ融資の時点で破綻状態にある債務者のために保証人になろうとする者は存在しないというべきであるから,保証契約の時点で主債務者がこのような意味での破綻状態にないことは,保証しようとする者の動機として,一般に,黙示的に表示されているものと解するのが相当である。
■ Yは,何らA社と取引関係のない情義的な保証人であり,高齢かつ病弱で,担保提供した自宅が唯一の財産であるというのであり,このことはXにおいてその調査により認識していたものである。さらに,YはB及びCから保証人となることを懇請されても容易に承諾せず,X担当者が保証意思の確認のためにY宅を訪問した際にも保証することに同意せず,最後にB及びCに伴われてXに行き,X担当者からA社の経営状態について説明されても十分に理解できなかったため,端的に,X担当者に対し「この会社大丈夫ですか」と確認したところ,X担当者から「大丈夫です」との返答があったので,これを信じて,本件融資について保証することを決断したのであるから,A社が破綻状態にはないことを信じて保証するのだという上記の動機が表示されていることは明らかというべきである。
■ そして,Xは,本件融資に至る過程において,A社に高利金融業者から多額の借入金があることを疑う機会が複数回あり,かつ,その調査も容易であって,A社が破綻状態にあることを知り得たのに,あえてその調査を行わないまま,信用保証協会から,2500万円に保証額が減額された上,B及びC以外の保証人の保証を付けることを求められて,Yに対し,上記のような説明をして本件保証証契約を締結したのであるから,本件保証契約が錯誤により無効とされてもやむを得ないものというべきである。
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