新手の悪徳金融

調停委員で簡裁に赴いたときに,控え室に張り出されていた「選択」の最新記事

「選択」は3万人のための情報誌で,久しぶりに目にした。

そこには

税金徴収に食らいつく『悪徳金融』

のタイトルが。

新手の悪徳金融登場かと思い,記事を読んだが,

その内容は,サービサーが時効にかかった債権を取り立てているというもの。

内容はこうである。

金融機関などからの借入は一銭も支払わず時効期間を経過すれば,その後に取立の手紙が来ても,時効援用の内容証明郵便を送ることで債権は消滅し,その後は,一切支払わなくて済むのだが,サービサーはこの通知を無視して裁判を起こしてくるらしい。

サービサーは時効にかかった債権をタダ同然で手に入れ,素知らぬ顔で催促し,一円でも入金があれば時効が消滅するから,これに味を占めているようである。

そして,裁判にかけても,裁判所から手紙を受け取った方は,とっくに時効にかかっているということで,これを無視。そのまま欠席判決ということになって,判決が確定し差押え。差押えになって初めてことの重大性に気づくということになる。

さらに始末が悪いことに,このサービサー,地方公共団体も利用していること。

保証協会,公営住宅の滞納家賃,未収医療費,奨学金,母子家庭への貸付金等,公共団体が行う回収業務に関してもサービサーが登場するようになっているが,地方公共団体が時効にかかった債権の回収業務をサービサーに委託していたのであれば,それこそ目も当てられない。

これに関する監督もザルのようだし,政府は民間活力を利用して民間市場の形成を目標に掲げているから,サービサーに委託する流れに歯止めはかからない。

ということで,遠い昔に借りた記憶のある債権の回収の手紙が届いたら,自分一人で何とかしようとするのではなく,お近くの専門家にご相談に行かれるのが,よろしいかと思います。

http://www.sentaku.co.jp/category/economies/post-3159.php

弁護士 桐生貴央